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森を持ち運び、 どこでも森を 身にまといたい。 2016年の春、会社員時代の友人と 近所のホームセンターで調理用なべ、パッキン、シリコンチューブを揃え、 見よう見まねで試してみたのが蒸留の始まり。 森の香りに包まれて、 この深い気持ちよさをビンに詰めて持ち運べたら、 会社でイラっとしてもすぐリラックスできていいよなと冗談で言ってました。 気がつけば蒸留器の釜も大きくなり、 瓶詰め出来るだけの精油量も採れるようになり、 森についての 知識も増えて。 最初は冗談だったけど、もしもこの澄んだ森の空気を生み出す、 木々のエッセンスを凝縮して持ち運ぶことが出来たら? ​ お風呂に杉の葉精油をたった2,3滴垂らすだけで、深い森に包みこまれると知った時、 それは現代社会における魔法のアイディアのように思えました。 はじまりが実験だったこともあり、「澄み香」は よくも悪くも、自分の個人的な実験の意味合いが強い商品です。  森の中で、薪を燃料にして、山の湧き水で、電気やガスを極力使わずに、 なるべく原始に近い方法で蒸留しています。 杉の葉に至っては材料も手作業で、山に入って採集してます。  薪を燃料にすると蒸留温度の管理が難しく、 事前に薪を切って割っておかなければならないので色々と面倒です。 そこまで手間をかけても完成品の精油や蒸留水の品質が向上するわけではありません。 むしろ煮詰めすぎて失敗することもあります。 ではなぜとよく聞かれます。 エコだとか資源の活用だとかそれらしい理由を言うこともできますが、 本音を言うと 「プロセスが原始に近づくほど、 精油にも原始的な生命の力が宿る気がする」 という個人的な気持ちの問題です。 スピリチュアルで非科学的でぶっ飛んで聞こえるかもしれませんが、 古代エジプトではパフュームや天然オイルは神々や王族に捧げられていた神聖なものでした。 古代ギリシャでは空気を清めるものと信じられていました。 そんな時代に蒸留法が確立されていたら、 きっと澄み香と同じ製法をたどったはず。 美しい森の木を材料に、 清く澄んだ湧き水で蒸留せよ、と。 想像上の太古の精油を再現することで、 現代社会で忘れられてしまったある種の身体感覚や生命力の感度を 高めることができないだろうか。そんなことをコンセプトにしています。 規模を追求できない効率の悪い蒸留方法ですのでとにかく今日も蒸留する、明日も蒸留する。    いつの日かこの原始的なオイルが多少でも売れて、 リラックスできたとか、力が湧いたといった声をもらえるかもしれない。 ​そんな日を夢見ています。